材料
SUS304
概要
SUS304は、約18%のクロムと約8%のニッケルを含むオーステナイト系のステンレス鋼(JIS鋼種)で、「18-8ステンレス」とも呼ばれる。ステンレス協会によると、SUS430と並んで最も多く使われる汎用の代表鋼種である。
特徴
- ステンレス鋼は、鋼中のクロムが酸素と結合して厚さ1〜3nmの不動態皮膜を表面に作り、これが腐食の進行を防ぐ。一般環境では皮膜が壊れてもすぐ再生する。
- オーステナイト系のため磁性がない。
- SUS304は準安定なオーステナイト系で、加工を加えると組織が変化する(加工誘起変態)ため、加工の効果が非常に大きく現れるとされる(ステンレス協会)。
- 加工硬化しやすい(工具メーカーのFAQ)。
- 機械的性質の例:降伏強度284N/mm²、引張強さ637N/mm²、伸び55%(ステンレス協会の比較表)。
- 線膨張係数は17.3×10⁻⁶/Kで、フェライト系のSUS430(10.4×10⁻⁶/K)より大きい。
- 密度(基本質量)は7.93g/cm³(ステンレス協会の配管マニュアルの物性表)。
主な用途
- 食品工業、石油化学工業、車輌、建築材料、原子力工業など(ステンレス協会の配管マニュアルの代表鋼種表の用途例)
- 建築設備の配管:一般配管用ステンレス鋼鋼管(SUS304TPD)として、通常の給水・給湯・排水・冷温水・消火配管に使われる。建築設備配管用の4鋼種の中で最も多く使われている(同マニュアル)
- 半導体製造装置の真空チャンバ部品(工作機械メーカーの加工事例)
加工上の特徴
- 切削時の抵抗が大きく、工具の寿命も短くなりやすい。
- 加工を受けた部分が硬くなる(加工硬化)性質があり、刃先に切りくずがくっつく溶着も生じやすい。
- 同じSUS304でも、ロットが変わると材質に差が出やすい。
(切削工具メーカーのFAQによる)
関連技術
対応可能
関連課題
使用業界
対応企業
出典
- ステンレス協会「ステンレスの概説」(PDF)「2012 JSSA」表記、2013年の生産量データを含む。発行日は不明
- ステンレス協会 配管システム普及委員会「建築用ステンレス配管マニュアル[2025追補版]」第1章 基礎編(PDF)発行日はグリーンパイプのサイトのお知らせ(2025-07-07 発行)による。表 1.1-1 は「ステンレス鋼データブック(家電編)より引用の表を一部加工」と注記あり
- オーエスジー FAQ「ステンレス鋼の種類 SUS304 SUS329 SUS630」切削工具メーカーのFAQ
- オークマ株式会社「チャンバ|半導体産業」工作機械メーカーの加工事例
関係の出典
- 関連課題:バリ
- 栃木県産業技術センター「ドリル加工におけるバリ抑制手法の開発」(令和4年度経常研究)SUS304のドリル加工で1刃送りが大きいほどばりが高くなった
- 関連課題:腐食
- 新潟県工業技術総合研究所 技術トピックス「不動態化処理ステンレス鋼の耐食性挙動」SUS304を含むステンレス鋼の孔食などの局部腐食と、不動態化処理による耐食性の評価
- 関連技術:TIG溶接
- パナソニック コネクト「溶接の基礎(溶接あれこれ集)」ステンレスのTIG溶接には直流電源を使うと説明されている(SUS304という鋼種名の明記はない)
- 使用業界:半導体製造装置
- オークマ株式会社「チャンバ|半導体産業」オークマの加工事例:半導体製造装置の真空チャンバ部品の材質がSUS304(工作機械メーカー1社の事例のみ)
- 対応企業:大利根精機株式会社
- 大利根精機 大利根精機の強み主な対応素材にSUS304
- 対応企業:株式会社由紀精密
- 由紀精密 設備 / 材料 / 処理材料表にSUS304 / SUS304L
- 対応企業:株式会社第一金属製作所
- 第一金属製作所 材料情報材料情報にSUS304、加工事例にSUS304製部品
最終確認日: