材料
チタン
概要
チタンは比重4.51の金属で、普通鋼と比べて重さは約6割、比強度は約2倍とされ、海水に対しても優れた耐食性を示す。航空機、化学・電力プラント、建築、自動車・二輪車、医療、日用品など幅広い分野で使われている。
特徴
- 比重4.51で、普通鋼の約60%の重さ。比強度は普通鋼の約2倍(東邦チタニウム)。
- 海水に対して優れた耐食性をもつ(東邦チタニウム)。経済産業省の資料も、スポンジチタンを軽量で強度・耐食性に優れた金属としている。
- 物性の例(ステンレス協会の配管マニュアルの物性表):基本質量4.51g/cm³(同じ表の炭素鋼は7.87g/cm³)、熱膨張係数8.9×10⁻⁶/K(0〜100℃)、熱伝導率17.1W/(m·K)(20〜100℃)、縦弾性係数106,000N/mm²、磁性なし。
- 工業用純チタンの機械的性質の実測値の例:引張強さ392N/mm²、耐力(0.2%)274N/mm²、伸び42%(同マニュアル)。
- 生体適合性に優れ、イオンの溶出が少なく、アレルギーが起こりにくいとされる(東邦チタニウム)。
主な用途
- 航空機:ジェットエンジン部品(ファン、圧縮機など)、機体構造材、燃料タンク、ランディングギア、ボルト、ばね(東邦チタニウム)。経済産業省の資料では、チタン合金やニッケル合金でつくる大型鍛造品が主翼と胴体の結合部やエンジンのディスクなどに、鋳造品がタービン翼やギアボックスなどのエンジン部品に使われるとしている
- 一般産業:化学プラント・電解設備(電極、貯蔵槽、配管・バルブ)、電力・海水淡水化プラント(タービンブレード、海水淡水化装置、復水器)、熱交換器、薬品を運ぶタンクローリーのタンク
- 建築:屋根材、壁材、内外装材、モニュメントなど
- 自動車・二輪車:マフラー、コンロッド、エンジンバルブ、スプリングなど
- 医療:人工骨、心臓弁、心臓ペースメーカー、手術用器具、歯根など
- 海洋土木:鋼管杭の防食カバー、海上橋脚など
- 日用品:ゴルフ用品、テニスラケット、眼鏡、腕時計など
(航空機の一部と経済産業省の記述を除き、東邦チタニウム「チタン活躍の場」の用途例による)
加工上の特徴
- 航空機分野で使われるチタン合金は熱伝導率が小さいため、切削熱が刃先付近にこもって温度が局部的に上がりやすい。高温の刃先では工具と材料の反応が進み、摩耗が早まるという問題が挙げられている(岐阜県産業技術総合センターの研究報告が文献を引いて紹介)。
- 航空機向けのチタン合金は、削ると工具がひどく摩耗するため、加工の難しい材料に分類されている。生産現場では切削速度を低く抑え、能率を上げるときは送りを大きくして高トルクで削る方法が経験的にとられている(同センター)。
- 同センターのエンドミル加工実験(Ti-6Al-4V、超硬母材にコーティングしたインサート、ウェット、能率が同じになるよう切削速度60〜180m/minと1刃送り0.9〜0.3mm/toothを組み合わせ)では、切削速度が速いほど工具摩耗が進み、工具摩耗は1刃あたりの送りよりも切削速度の影響を強く受けた。能率を上げるには、速度を上げるより1刃送りを増やす方が望ましいとしている。
- 同センターの別の実験(Ti-6Al-4V、コーティングなし超硬の1枚刃エンドミルφ10mm、1刃送り0.2mm/tooth、径・軸方向切込み各2mm)では、逃げ面最大摩耗幅200μmまでの切削可能距離が、切削速度60.0m/minでドライ2.2mに対し、エマルジョン形の切削油剤で31.0m、ソリューション形で33.0mと長くなった。2種類の切削油剤の間には明らかな差はなかった。
関連技術
対応可能
- 5軸加工 出典直交する3つの直線軸に2つの回転・旋回軸を加えた5軸を制御して行う切削加工。1回の段取りで複数の面を加工でき、工…
- TIG溶接 出典アルゴンなどの不活性ガスで周囲を覆い、タングステン電極と母材の間に出したアークの熱で母材を溶かして接合するア…
難加工
使用業界
対応企業
出典
- 東邦チタニウム株式会社「3分でわかる東邦チタニウム」(チタンの特徴)チタン製錬メーカーの公式サイト。公開日の記載なし
- 東邦チタニウム株式会社「チタン活躍の場」チタン製錬メーカーの公式サイト。公開日の記載なし
- 経済産業省「航空機の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針」(令和5年1月19日、令和6年3月29日改定)本ページの記述は、本資料をもとに要約・加工して作成
- ステンレス協会 配管システム普及委員会「建築用ステンレス配管マニュアル[2025追補版]」第1章 基礎編(PDF)表1.2-1・1.2-2 にチタン(工業用純)の物性・機械的性質の行あり。表の出典は「ステンレス鋼データブック(家電編)」等と注記
- 岐阜県産業技術総合センター研究報告 第3号「難削材の高能率切削加工に関する研究(第1報)」(加賀忠士・坂東直行)公設試の研究報告。発行日の記載なし(PDF作成日 2022-08-18)
- 岐阜県産業技術総合センター研究報告 第7号「切削工具の工具寿命に関する研究(第2報)」(加賀忠士・横山哲也)公設試の研究報告。発行日の記載なし(PDF作成日 2026-04-22)
関係の出典
- 関連技術:5軸加工
- オークマ「5軸制御マシニングセンタ 選ばれている理由」メーカーがチタン合金など難削材への対応を5軸MCの特長として挙げている
- 関連技術:TIG溶接
- ダイヘン「TIG溶接機」製品一覧チタンを含む現場溶接に対応するTIG溶接機が販売されている
- 関連技術:切削加工
- 岐阜県産業技術総合センター研究報告 第7号「切削工具の工具寿命に関する研究(第2報)」航空機産業で使われるチタン合金は、切削加工で工具が激しく摩耗する難削材とされている。刃先が高温になり工具摩耗が速まるため、低速での加工を採らざるを得ないとしている
- 使用業界:自動車
- 東邦チタニウム株式会社「チタン活躍の場」自動車・二輪車分野の用途例として、マフラー、コンロッド、エンジンバルブ、スプリングを挙げている。オートバイの部品の中でチタンが最も多く使われているのはマフラーとしている
- 使用業界:航空宇宙
- 経済産業省「航空機の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針」(令和6年3月29日改定)スポンジチタンは軽量で強度・耐食性に優れた金属で、航空機のエンジン回転体や機体の部素材に使われる。チタン合金は大型鍛造品(主翼と胴体の結合部、エンジンのディスクなど)や鋳造品(タービン翼、ギアボックスなど)の材料とされている(本ページの記述は、本資料をもとに要約・加工して作成)
- 対応企業:大利根精機株式会社
- 大利根精機 大利根精機の強み主な対応素材にTB340、Ti-6Al-4V等
- 対応企業:株式会社ウラノ
- ウラノ URANOについて(会社概要)沿革に「2011 Boeing787 チタン材部品加工日本一の受注に成功」とある
- 対応企業:株式会社由紀精密
- 由紀精密 設備 / 材料 / 処理材料表にTi-6Al-4V、純チタン、64チタン等
最終確認日: